探偵事務所は休業中



クロを探し始めて十五分。
クロどころか、猫の姿さえまだ見ていない。

やはり、事務所にいた方がよかったのではないか。
そんな考えが羽兎の頭を過る。

「クロちゃーん。どこー?」

あちこち見回し、歩き続ける。
ふと、ある場所が彼女の目に留まった。

金網で囲われた、小さな空き地。
金網でできたドアが小さく開いていた。

「もしや、あの中にクロちゃんが?」

一つの希望を胸に抱き、羽兎は金網でできたドアを開けた。

金属独特の耳に付く音が、彼女の耳に入ってくる。
羽兎は片耳を押さえ、辺りを見回した。

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