探偵事務所は休業中
逃げようと思っても、後ろは金網。
クロを抱きながら、ずるずるとしゃがみこむ。
「来ないでっ!」
羽兎は足元を必死に蹴った。
少年が近付いてこられないように、自分の周りをガードする。
こんな子供に殺されてたまるか!
と言うか、こんな所で死ぬタマじゃないし!!
それでも尚、彼は刃を煌めかせて近付いてくる。
羽兎は歯を噛み締め、抵抗を続けた。
「来るなっ!!」
ゲシゲシと少年の足を蹴る。
大して効果がないのか、少年は冷たい目で羽兎を見る。
「いい加減にしてよね」
「それはこっちのセリフ!!」
奥歯を噛み締める。
それと同時に、少年がナイフを振り上げた。