探偵事務所は休業中
しばらくして、警察が来た。
病み男は連行され、空き地から赤いパトランプも遠ざかっていった。
「にゃー」
羽兎は空き地の隅っこに踞っていた。
彼女を心配するようにクロが鳴く。
「うん。泣いてないよ」
「みゃー?」
「うん。ちょっと警察が沢山いて、動揺しちゃっただけ」
「まーお」
言葉が通じたのか、クロが羽兎の側から離れていった。
それと入れ替わりに、今までぼうっとパトカーを見送っていた霞が来た。
「……何してんスか?」
「何か病み男くんが怖くて……」
「だから大丈夫って言ったじゃないッスか!」
「そう言うことじゃない!
たった15歳なのに、そこまで彼を歪ませちゃった環境が怖いんです」
「……」
「普通なら、もっと元気な中学生なのに……」