探偵事務所は休業中
咎められているような気分になり、羽兎は俯いた。
霞は小さくため息をついた。
「何か上の空な事が多いッスよ。本当は、紘哉サンと仲直りしたいと思ってるんじゃないッスか?」
「う……」
的確な所を突いてくる。
羽兎は頷いた。
「どちらが原因にせよ、喧嘩したらおあいこです。時には、自分から謝るってことも必要ッスよ」
「……そうですね」
「分かったなら帰ってください。今、僕が言ったことをやって通じなかったときは……また戻ってきて下さい。方法を考えます」
「霞さん……」
羽兎は顔を上げ、霞を見つめる。
彼は頷き、優しく微笑んだ。
「短い間でしたが……ありがとうございました!」
「こちらこそ」
羽兎は頭を下げ、空き地を出ていった。
残された霞は、足元にいるクロを抱き上げ、少し経ってから空き地を後にした。