探偵事務所は休業中
辺りは段々と暗くなってきている。
周りのお店の看板がポチポチと明かりを点し始めた。
羽兎は俯きながら歩き続ける。
その時、羽兎の頭に衝撃が走った。
「あだっ!!」
どうやら電柱に頭をぶつけたらしい。
羽兎は頭を擦りながら意味もなく左を見た。
看板には『紅花探偵事務所』。
羽兎はピクリと反応した。
「紅花……」
聞いたことのある名字。
紅花(べにばな)なんてそうそういない。
もしかしたら、あの紅花かもしれない。
彼女は勇気を振り絞り、事務所のドアを開けた。