探偵事務所は休業中
「大変そうだねー」
「他人事みたいに言わないで下さい」
ニコニコする焔美。
霞は目線を下に下げた。
「あー」
「つまんなーい」
いつもとは違う声が霞の耳に入ってくる。
更に言えば、小さな子供の声。
霞は再び顔をあげた。
「ホム美さん、今なんか子供の声が聞こえたんスけど……勘違いッスか?」
「勘違いじゃないよー!ほら!」
焔美は屈み、子供を抱き上げた。
机の影で見えなかったのだが、どうやら子供は二人いるらしい。
霞は目を丸くした。
「ホム美さん……いつの間に結婚してたんスか!?子供までいるし!」
「あのね、カスミくん――」
「結婚祝いとか買ってないッスよ!どうしよう」
「いやいや、違うから!勘違いしないで!」