探偵事務所は休業中

机の上に子供を座らせ、必死で弁明する。
霞は鬱陶しそうに目を向けた後、広げてあったレポート諸々を隅に寄せた。

「この子ね、甥っ子と姪っ子なの。お姉さんね、子守り頼まれちゃって」

「なるほど……」

園服を着た子供と、まだよだれ掛けが取れていないような小さな子供。
二人はポカンとしながら、焔美を見ていた。

「こっちの園服の子が、たっくん。で、こっちの赤ちゃんがまーちゃんって言うんだよ!」

「はー、かわいいッスねぇ……」

「本名は拓実くんと真由美ちゃんって言うんだけどね」

「そうなんスか……」

霞は立ち上がり、真由美を抱き上げた。
そして、たかいたかいをする。

真由美はきゃっきゃと歓声を上げ、手足をバタバタしていた。

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