探偵事務所は休業中
そんな中、霞と出会った。
当時、霞は高校生。
荒れていた模様で、顔や腕に湿布や絆創膏が目立っていた。
何も信じられないような瞳が、焔美のことを貫いた。
歳も六つ下。
似ても似つかぬ彼に、自然と弟の姿を重ねてしまったらしい。
彼女の事を鬱陶しがる彼に、あれこれ口を出していたと思う。
髪の色がいけないだとか、制服をだらしなく着ているだとか。
夢破れ職を失っていた当時、このような事しか出来なかった。
そんなことをしていたせいか、次第に霞は落ち着いていった。
道を踏み外さなくて、その時は本当に安心した。