ラプソディ・イン・×××
「待ってーー!!

カギ閉めないでぇ〜〜」



今夜はジャズ仲間との練習があるから、

放課後の教室での練習を切り上げて、

校舎の戸締まりをして、

帰ろうとしたときだった。



カギを職員室に返そうと、

旧校舎に背を向けて歩き出した瞬間、


旧校舎の2階の窓から、

一人の女の人が

大きく手を振って

オレを呼び止めたんだ。



「ごめん、カギ、置いてって!」


図書室のあった2階の窓だ。


見覚えある女。

図書室の先生だった。



「サックスの音が止んだから、

もしかしたら練習終えて

帰っちゃうのかと思って」


前髪をななめにして、

長い髪をすっきり一つにまとめて

眼鏡をかけた女の先生。


教師じゃなくて、

「図書館司書」っつーらしいけど。


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