ラプソディ・イン・×××
聞きたいことは、

ほとんど聞けなかったままだけど。


色んなわだかまりも、

しゃあねぇなって

いったん胸の奥に片付けた。


オレってけっこう大人だ。






「…たびたび

見舞ってやることにしたよ」



電車の振動に身をあずけ、

向かいの窓から広がる田園風景に

目を向けながらつぶやいた。



横に座るスミレが

微笑んだ気配を感じた。


「そっか。お父さんも喜ぶよ」



「そうかな…」



そうだといいけど。


親父も素直じゃないけど

オレも素直じゃない。



けど、しゃあねぇって

覚悟は決めた。



オレが親父を看取るって。



だって、一応息子だし。

オレしかいねぇからな。




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