ラプソディ・イン・×××
ジャズバー“south”は、

親父の隠れ家的な店だ。



ジャズバーの老舗で、

親父も大学時代には、

southのステージでサックスを吹いた。



サックス辞めて、

会社を継いでからも

このsouthには通い続けていた。


サックスに対する情熱は

消えはしなかったが、

辞めてからは一度も

サックスを吹くことはなかった。



オレは親父のサックスを

見たこともなかった。




サックスを

やめることができるなんて

オレには信じられない。



何故なんだろうとは、

ずっと思ってた。


追求する気がなかっただけで。







旧校舎で練習を終えて、

カギを返そうと

校舎を出たところで、


校庭を見回すようなそぶりしながら

歩く日岡を見つけた。




「おーい、日岡せんせー」


手を振ったら、

日岡はニコリと反応した。


オレは日岡の顔を覗きこむ。



「ヒオカ先生、どーかした?

浮かない顔してっけど」



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