ラプソディ・イン・×××
曇っていた日岡の表情が

見るからに光りを帯びてきたから。


「ほんとにいいの?」



「うん」


「助かるよ、ありがとう」


ほっとした顔で

オレに礼を言う。


こんなことになって、

毎日育ててきた日岡が

一番辛いだろうな。



佐野椎南は、

このこと知ってんのかな。



なんか、すげぇ残念だ。



裏庭に秘密の花園って感じで、

よかったんだけどな。


ほんとにキレイに咲いてたし。




さすがにうちの庭に

全部は入んないし。


ブルームーンくらいなら、

なんとか追加できるかな、

って感じ。




オレのお気にの練習場所と一緒に

佐野椎南のお気にの場所が

なくなってしまうなんて…。



花盛りを終えた、

バラの花壇を前に、

なんつーか、無情だなーって、

しんみりした。







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