ラプソディ・イン・×××
テナーサックスを

借りたその足で、

スミレの大学の音楽棟の

屋上に行った。



さっそくテナーサックスを

取り出した。



何で屋上か?って、

室内意外と人多くて、

初めてのテナーの練習

見られんの気恥ずかしいから。



夜だから暗いけど、

屋上にも電灯があって、

細かい楽譜を

見るわけじゃなければ

十分練習できるんだ。



音楽棟に練習に来てたスミレに

「ちょっと教えてよ」って

指導をあおいだ。



スミレもかつて

アルトからテナーに持ち替えた、

いわば先輩だから。



楽器といえば、

アルトサックスしか

吹いたことなかったから、

上手く音出せるだろうかって

不安あったけど、

意外と音は簡単に出た。



「…渋いな。

アルトには出ないような

低い音がボワァンって出る」



「でしょ!

楽器もでかけりゃ

音もでかいしね!

それにしても

良いテナーねぇ〜」


うらやまし〜、とスミレは、

オレのテナーを

しげしげと眺めた。



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