ラプソディ・イン・×××
スミレが、拍手して

オレをほめる。


「ウォッカセンス良い!!

さすがね。


…ウ〜ン、…でも、

その才能にはちょっと

嫉妬しちゃうな…」


スミレは口をとがらせて、

すねた表情をした。



「…何言ってんだよ」


「ウォッカ、

テナーすんなら、

ライバルだかんね!

容赦しないぞ!」


スミレが宣戦布告してきた。

茶目っ気な表情に、和む。



「いや、オレの一番は、

アルトだし」




アルトサックスは華がある。


軽やかに、

抜けるような高い音域を

きれいに吹けるのがカッコイイ。



それにアルトは

ダイナミックレンジが広くて、

ビブラートもかかりやすい。


だから音に込めた感情を

表現しやすい分、

個性が出しやすい

気がするんだよね。



特に、

ビブラートをかけると、

かなり官能的な音色になるのが

また気持ちいい。




そんなこと一人考えてたら、

「あ、そうそう、」

スミレがニュッと

オレの顔をのぞき上げた。

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