ラプソディ・イン・×××
親父は、
訴えかけるような瞳で言った。
「悪いのは俺なんだ。
だから、椎南のことを
どうか恨まないでやってくれ」
「別に、心配しなくても
恨んだりしたことねぇよ」
「…そうか、ありがとう。
…入道雲だな」
照れ臭そうに話題を変えて
親父は再び窓の外を眺めた。
オレもつられて
ぼんやり眺めた。
テナーを吹いてることは
まだ親父には黙っている。
もうちょっと上手く
吹けるようになったら、
聴かせて
驚かせてやろうと思って。
親父、まだ生きれそうだし。
だけど…
“その日”は、
思いのほか早く、
いきなり訪れた。
病院から電話を受けて、
病室に駆けつけた。
病室に
サックスの演奏が
流れている。
すでに
親父の意識はなかった。
「親父」
声をかけたら、
親父の目の端が
穏やかになった。
オレの声、
聞こえてんのかな。
そう思った。
それが最期だった。
訴えかけるような瞳で言った。
「悪いのは俺なんだ。
だから、椎南のことを
どうか恨まないでやってくれ」
「別に、心配しなくても
恨んだりしたことねぇよ」
「…そうか、ありがとう。
…入道雲だな」
照れ臭そうに話題を変えて
親父は再び窓の外を眺めた。
オレもつられて
ぼんやり眺めた。
テナーを吹いてることは
まだ親父には黙っている。
もうちょっと上手く
吹けるようになったら、
聴かせて
驚かせてやろうと思って。
親父、まだ生きれそうだし。
だけど…
“その日”は、
思いのほか早く、
いきなり訪れた。
病院から電話を受けて、
病室に駆けつけた。
病室に
サックスの演奏が
流れている。
すでに
親父の意識はなかった。
「親父」
声をかけたら、
親父の目の端が
穏やかになった。
オレの声、
聞こえてんのかな。
そう思った。
それが最期だった。