ラプソディ・イン・×××
サックスケースの中に

入っていた紙に

書かれた住所は、


湖畔の小さな二階建ての

別荘だった。




親父の病院を出たその足で

そのままここへきた。



穏やかな湖に、

周囲は緑の木々が生い茂り、

あたりに建物は見当たらない。


ログ系の一軒家。

4LDKくらいってとこかな。



鍵を開けて中に入った。


暗い色調。


その中の一室。


入ってすぐ

目に飛び込んできたのが、

壁を埋め尽くすように

並べられた

大量の古いレコードだった。



室内ぐるりと見回すと、

ウイスキーや

ブランデーのボトル、

グラスが並べられている。



風景写真や

往年のジャズ奏者のポスターが

額縁に入れられて飾ってある。



暖炉に、一人掛けのソファー。


なんつーか

ジャジィな雰囲気。

大人の趣味部屋。


最高じゃん。



ここの鍵を託された理由は

一目瞭然だ。



ここの価値は

きっとオレにしかわからない。



最高。


周囲を気にせず吹き放題だ。




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