ラプソディ・イン・×××
5年くらい前に
そのバラは
やっと完成した。
苦労したかいがあった。
と親父は満足していたそうだ。
『そこまでして、
どうしてもプレゼントしたい方が
いらっしゃったんでしょうね。
それはそれは美しい。
ただの白いバラじゃなくて。
中心にいくほど
淡い薄紫のグラデーションが
ロマンチックでしょう。
羽を重ねたようなお花は
軽やかで可憐です。
だけど
ちょっと憂いもあって。
そう、まるで、
清純な乙女のため息のような…』
ゆっくり言葉をためながら、
一言一言丁寧に
家政婦は語った。
『そのバラの名前は、
“シイナ”
っていうんですよ』
“誰か”に
プレゼントしたかったバラ。
だけど、
受け取ってもらえなかったバラ。
ほんとに、だっせぇ親父。
不器用過ぎる親父。
電話を切ったあと、
胸が詰まるような
感覚に襲われて
一人立ち尽くした。
そのバラは
やっと完成した。
苦労したかいがあった。
と親父は満足していたそうだ。
『そこまでして、
どうしてもプレゼントしたい方が
いらっしゃったんでしょうね。
それはそれは美しい。
ただの白いバラじゃなくて。
中心にいくほど
淡い薄紫のグラデーションが
ロマンチックでしょう。
羽を重ねたようなお花は
軽やかで可憐です。
だけど
ちょっと憂いもあって。
そう、まるで、
清純な乙女のため息のような…』
ゆっくり言葉をためながら、
一言一言丁寧に
家政婦は語った。
『そのバラの名前は、
“シイナ”
っていうんですよ』
“誰か”に
プレゼントしたかったバラ。
だけど、
受け取ってもらえなかったバラ。
ほんとに、だっせぇ親父。
不器用過ぎる親父。
電話を切ったあと、
胸が詰まるような
感覚に襲われて
一人立ち尽くした。