ラプソディ・イン・×××
ジンは、

オレの行動が周りにバレないよう

機転をきかせて平然と、

記帳を見ているフリを

してくれている。




日岡は、

喪主の母さんに

深々と頭を下げた。



オレは隠れつつ

様子をうかがった。




どうか佐野椎南に、

焼香させてあげて欲しい。


そう頼んでいる。




母さん、どうするつもりだ?



金輪際

こちらに関わらないことを

約束させ、

佐野椎南から

本当の父親を切り離した

母さんの冷徹さを考えると…。



変な汗と沈黙が流れた。




「…どうぞ」


静かな声で

母さんは答えた。



え…。


オレだけじゃなく、

その場にいた親類、関係者皆

驚きを隠せないでいた。



でも一番驚いたのは

オレだろうけど。




すぐに日岡が、

佐野椎南を連れて来た。



親族はザワザワいってる。



数メートルの近くで対峙した、

(元)本妻と、

不倫相手の子。



一触即発の空気って

こういうのをいうんだろうな。



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