ラプソディ・イン・×××
馬鹿じゃねぇの。

可笑しくて笑えた。



「まぁ、別に焼香ぐらい、

いんじゃないっすか?」


テキトーに返事をした。


馬鹿馬鹿しい。


なんならオレは

認知だって相続だって

したらいいと思ってるけど。

思ってるけど、

今はそこまでは言わないでおく。


かつて母さんは

佐野椎南母娘に、

非情な対応をした。


真意はどうあれ、

せっかく焼香を許してくれた

母さんの機嫌を損ねるのだけは

避けておきたかったからだ。



目に見えて不愉快なツラした

親戚から離れると、

オレは再び物陰から

佐野椎南を見守った。




急いで来たからか、

緊張しているからか、

息を整えながら祭壇に進む

佐野椎南の姿と

親父の遺影を交互に見つめた。



来てくれたんだ…。



親父に

何を伝えに来たんだろう。



遺影を見つめながら、

佐野椎南は

何かを親父に伝えているようだ。



鳥肌が立った。


オレは感動していた。


もう来ないものと、

オレの中では

終了してた話だったから。


その分、

驚きと喜びは大きかった。



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