ラプソディ・イン・×××
「お父さんは言ってたよ。

君は、きっと

納得いくくらい

吹けるようになるまでは、

自分からは言わないだろうって。

僕も、

君が自分から伝えるのを

待つべきだと思ったけど、

お父さんの余命を勘案して

伝えることにした。

君に、

貴方のテナーサックスを

託しました、と」



それが、

僕の使命だったからね、

とマスターは続けた。



「君のお父さんには、

本当によくしてもらった。


この店に

長年多大な援助をしてもらい、

さらに今後の資金まで、ね。

この店が、

今も営業を続けていられるのは、

君のお父さんがいたからだ。


言葉では表現できないくらい

感謝しているんだ。


それに君のお父さんは、

プレイヤーを育てた。

君のお父さんは、

音楽をやっている

若者に対しても

援助を行っていた。

この店で、

君のお父さんに

育てられたといっても

過言じゃないプレイヤーは

たくさんいる」


本当に、感謝している。

とマスターは何度

も口に出した。



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