ラプソディ・イン・×××
そうだったんだ。


親父のやつ、

そんなことを…。



やるじゃん。



音楽家を育てていた親父。


なら、オレのことは、

どう思っていたんだろう。



肝心なコトを一つ、

親父に聞きそびれていた。



マスターなら、

親父から聞いているだろうか。



「親父は、

オレに会社を継いで欲しいと

思っていたんでしょうか?」



親父に確認できなかった。


音楽の世界は厳しいと

わかっていた親父が、

本心で、

オレにどうしてもらいたいと

思っていたのか。



「さぁ、それはどうだろうね」


マスターも知らないようだ。

首をひねって少し考え、


「だが、誰がどう思おうとも、

どうするかはすべて

君しだいなんじゃないかな?」



沈黙が流れた。


だけど、納得できた。



黙ったままのオレの肩に

マスターは手を置いた。



「…ただ、お父さんは、

君のことを、

うらやましいと言っていたよ」





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