ラプソディ・イン・×××
少なくとも、


ただオレに嫉妬していた

ただの一人のサックス吹きだった。



そしてオレのことが

自慢だった。



自分の夢のカタマリを

譲り渡したいと願うほどに。


オレの音を最期に聴いて

逝くほどに。




親父を見返してやりたいと、

目先のことしか

見えてなかったオレとは

違った。


親父は、もっと先の

オレを見ていた。





むせび泣くような

アンティークの

テナーサックス。



泣いているのは、

一体誰だ。





いつの間にか、

喪服のサックス吹きの

まわりには

人だかりができていた。










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