ラプソディ・イン・×××
「…ありがたいことに」


頭をかいた。



最優秀賞取ってから、

活動量が怒涛の勢いで増えている。



あちこちのイベントや

フェスの参加にとどまらず、

人気ジャズシンガーのライブの

ゲスト出演なんかのオファーも

入ってるし。



色んな人脈も増えた。


レーベル所属の話も上がっている。


いずれはCDも、…って話だって。



気恥ずかしいっつーか、

なんつーか。



オレの実力から言えば、

当たり前の評価じゃん!

って思いつつ、

ちょっと順調すぎるかなと

控えめに思ったり。



もっともっと

活動広げてくつもりだけどな。




「身近にスゲー奴いると、

触発っていうの?

こっちのモチベーションも

上がるってもんだぜ」


テキーラは、ニッと笑う。



「いや、オレもまだまだ。

けど、やっぱ、今みたいに

ただ夢中で演奏してる瞬間が

一番好きだなァ」


宙に目をやった。


無心って、なれるようで

簡単にはなれないから。



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