ラプソディ・イン・×××
するとスミレは、

清々しい笑顔をして言った。



「ううん。違う。

そのことは全く関係ない。

ずっと考えてたんだ。

言わなかったけど、

ずっと考えてたこと」


やっと、決心がついた。

とスミレは少し真顔になって

持ってた缶コーヒーのフタを

空けた。



「Jewel House(ジュエル ハウス)

ってバンド知ってる?」



「ああ、もちろん」


既に何作かCDを出し、

テレビでも活躍中の

女性のみのビッグバンドだ。


現在全国ツアー中。

オレも観に行く予定になってる。




「そこにね、

加入することになった」


「マジ?!」



「ツアー後に、

テナーサックスが

脱退するんだって。

それで、

あたしに加入の話がきたんだ。

メンバーの一人が知り合いで、

その縁で」



半年くらい前から

加入の打診はあったんだけど、

ただ仕事を辞めて音楽にかける

決心がつかなかった。


最近までずっと悩み続けて、

ようやく決心がついた。


と、スミレは説明してくれた。



< 197 / 242 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop