ラプソディ・イン・×××
「ブルームーンは…?」



「もちろん続けるつもり。

ただそうなると、

今までのように派遣とはいえ、

フルタイムの定職についてると、

活動が制限されちゃうでしょ?

東京に行くのも多くなるし。

いきなり音楽一本なんて

無理だろうから働くにしても、

単発のバイトみたいに、

もう少し変則的に働ける方が

いいと思ってて。

先々不安だけどね、

どうしても夢だったから、

チャレンジしてみよう、って」


スミレの表情は、

明るくイキイキしていた。



「そっか、スゲーじゃん。

応援するよ」



これはホントにすごいチャンスだ。


同じ音楽仲間として、

かなりうれしい。

うれしい。



けど、よくわかんねぇけど、

いきなりの話に、

心の底から笑顔で送り出せない

自分に気づいて、戸惑った。



心に薄雲が広がって、

ちっとも晴れないこの感情。


何だ?この感情は。



「ありがとう」


はにかむスミレに、

全開の笑顔を向けられない。


顔は笑ってるけど、

心ん中はひきつって、

オレは一体

どうしてしまったんだろう。




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