ラプソディ・イン・×××
オレはフリアのことを

誤解していた。

狼狽するオレに、



『フリアさん、

まだウォッカのこと……』



−−待ってくれ、その先は言うな。


スミレが言おうとした言葉を

制した。



まさか。

だって、別れたいって言ったのは

フリアじゃんか。


だったら何で

別れる必要あったんだよ。


納得いかない。


だから信じない。



そう思っていたけど…。



窓越しのフリアは、

迷子の子どものように、

頼りなげで、か弱く見えた。


いつもの気の強さは

まるで消えていて…。



ふいに付き合ってたころの

気持ちが蘇ってきて、

声が優しくなった。



「…スミレに謝りに行ってたんだろ?

聞いたよ。

知らなくて、オレ、

お前のこと誤解して、

キツい言い方したよな」


コソコソとチクるような

卑怯な奴だ、って。



「…悪かった。

オレに言いたかったこと、

ちゃんと全部話せよ。

今さらだけどさ。

フリアの話、

聞くために来たんだから」



『言いたかったこと…?』


「ああ」



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