ラプソディ・イン・×××
「楽しそうやね、ウォッカ。

ニヤニヤして」



オレの顔をちらっと見て、

ラムはグラスに氷を入れた。


「そりゃー、

楽しくないわけないじゃん。

ジャズフェス、

毎週あってもいいくらい」



ジンの姉、ラムの勤める

老舗のジャズバーも会場の一つで、

こういうイベントのときは、

朝から開いてる。


この日ばかりは堂々と

未成年も来店できるから、

オレはここでは出演しないけど、

ちょっと顔を出したんだ。

色んな出場者の演奏も見たいしね。


バーテンダーの格好したジンも

店内にいた。


もちろん

カクテル作れるわけじゃなくて、

雑用のバイトとして入ってるんだけど。



バーカウンターの一番奥に腰掛けて、

ステージとフロアを眺める。


ライブは中休み中で、

ステージが暗い。


次の演奏を待つ観客たちの談笑と、

ドリンク注文対応に追われる

スタッフを交互に見ていた。


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