ラプソディ・イン・×××
アルト一筋のオレでも、

嫉妬しそうなくらい。


カッコイイ。



大きな拍手と歓声。


あっという間に

演奏時間が終了してしまった。


まだもっと聴きたい。


そんな余韻を残して。



ステージから、

髪を弾ませるように

降りてきた先生は、

会心の笑みで片手を上げて

オレにハイタッチを求めた。


手を挙げて、ハイタッチにこたえ、

声をかけた。


「お疲れ。よかったっすよ」



「ありがとう!

君の演奏、客席で観てるね」


すれ違うとき、また花の香りがした。


香水か?

何の花なんだろう。



仲間とともに出ていく後ろ髪に

ちらっと目を走らせた。



テナー、すっげーよかった。


逆に、良すぎて

手放しで褒めることが

できなかった。


ちっせぇなオレ。

内心苦笑いした。




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