ラプソディ・イン・×××
「ごめんね、急に呼び出したりして」


ガラっと扉を開く音に続いて、

スミレの声に振り返る。


「いや、いいっすよ」


オレはさりげなく窓から離れた。



髪をおろしたゆるいTシャツに

腰ばきのボーイフレンドジーンズな

テナーサックス吹きの女は、


職場である高校では、

ダテ眼鏡に

髪は束ねたかっちりモード。



「先生、全然感じ違うんだけど」


「まあね。

これは仕事モードだから。

気持ち切り替わるし、

っていうか、

変身を楽しんでる感じかな。


いいでしょ、

こういう真面目なカッコも」


眼鏡をくいっと持ち上げて、

へへっと笑った。


大人の女なんだけど、

いたずらっ子みたいな表情。


オレもつられて笑う。



スミレは、顔のパーツが

品よく控えめで

和風な顔つきなんだけど、


笑うと涙袋が大きくて、

薄い唇の下端のホクロとで

妙にセクシーな感じがするんだな。


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