ラプソディ・イン・×××
「一階はジャズ研専用で

使わせてもらってるの」



スミレは、

一階の一番手前の部屋の扉を開けた。



いろんな楽器や機材が置かれた

雑然とした広い室内。



ブルームーンのメンバーだけでなく、

他にも人が数人いて、

各々の楽器の音を確かめていた。




サックスカルテット、ブルームーンは、

小さくて小太りの男がソプラノ、

色黒でガタイのいい男がアルト、

紅一点のスミレがテナー、

白くて細長い男がバリトンだ。



ガタイのいい男、

こいつが現役大学生で

バイトの工事現場でケガして

手首を折っちまったんだと。



「数週間…少なくとも2週間以上は

安静にしてないといけなくて。

完璧な演奏はできそうにないんだ」


手首に包帯を巻いたガタイのいい男は

大きな肩を落とした。



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