ラプソディ・イン・×××
「じゃあいくよ」


スミレの合図で、

そろって音を出す。



四つの音がとけあって、

響く。




ひと吹きで心は決まった。



オレの表情で、

みんなも確信したみたいだった。



ソロともビッグバンドとも違う。



サックスは

もともと響きがとても豊かな楽器だ。



音域の違う、同じ楽器同士の四重奏。



サックスカルテットは、

ソプラノ、アルト、テナー、バリトンの

四つの音しか存在しないのに、

その響きからは、

それを超える威力を感じた。



そしてそのまま

夢中で何曲も吹いた。




オレがソロにこだわったのは、

はっきり言ってしまえば

目立ちたいから。



ビッグバンドでも

アルトサックスは主旋律を奏でたり、

ソロパートで前に出ることが多くて

注目を集める楽器だ。



オレ中心。


それがカッコイイって。


でもハーモニーっていうの?


四つで奏でる統一感に

鳥肌が立った。



やらないって選択はないっしょ。


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