ラプソディ・イン・×××
「これや。

ドライジンと

バイオレットリキュールと

レモンをシェークして作るカクテルで、

真夜中に登る妖艶な月を

イメージしとるらしい」


ジンが開いたページの写真を見る。



逆三角形のカクテルグラスに

注がれたキレイな薄紫色の酒。


「バイオレットって…?」



「菫(スミレ)のリキュールのこと。

菫のリキュール使うから

菫の香りがする

薄紫色のカクテルになるねん。


ブルームーンの色の美しさは

カクテルの中でもトップクラス。

これがバイオレットリキュールや」


ジンは後ろの酒棚から、

その菫の酒を取り出した。



「スミレ…」


スミレと聞いて、

頭に浮かんだのは、

花のほうではなく、

人のほうだった。


いい香りか・・・。

スミレの近くにいるとき、

ちょっとした動きの拍子に、

微かに感じる花のような香り。


スミレの使ってる香水、

何なんだろう。


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