ラプソディ・イン・×××
ずっと聞きたいと思ってた。


ゆっくり聞く機会なくて

聞けないままでいたけど。



「テナーに転向したのは

大学入ってからよ」


「それまでは?」


「アルトサックス。

中学までは

本ばっか読んでるような子で、

音楽には無縁だった。

まぁ、今でも本は好きだけどね。


音楽やりはじめたのは、

高校入って吹奏楽部に入ってから」


「なんで高校で

いきなり吹奏楽部入ったの?」


オレの質問に、

スミレは少し黙って、

小さな声になった。


「…カッコイイ先輩がいたから」


「不純!」

ちょっと吹き出すオレ。


つられてスミレも笑った。

「スタート段階ではね」


「じゃあ、アルトより、

何でテナーのが良かったの?

転向した理由は?」


「特に理由はないわ。

ただ急にカッコイイって

気づいちゃったから」



「…気づいた?」


< 59 / 242 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop