ラプソディ・イン・×××
オレは裏庭のバラの周りを

ウロウロ物色した。


見てるだけだ。

盗むわけじゃねぇぞって

頭ん中で言い訳しながら。



「あ、来た来た、

バラの管理人さーん!」


オレは手を振って手招きした。


遠目から

歩いてくる白衣が見えたから。



真面目くさった眼鏡に、

クールビズってるけど

キッチリして見える。


日岡は、そういうタイプだ。



ちょっとした経緯で

バラを育てるはめに

なったみたいだけど、

今では良い趣味が出来て喜んでる、

ちょっと地味めの化学教師。


日岡修平(ヒオカ シュウヘイ)。

25?6だっけ、

確かそれくらいの年齢。



日岡は生真面目に、

オレに歩み寄る。


「先生、こん中にさ、

ブルームーンって品種のバラある?」



「…ブルームーン?」


「そう、ブルームーン」


オレはバラの一帯を指差す。



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