ラプソディ・イン・×××
一度も一緒に住んだこともない。


会うのも稀。


世の中の親子ほど、

情なんてないはずだ。



なのに、なんだ?


黒い津波のように

押し寄せるこの感情は。


そのままどこかへ

押し流されてしまいそうで、


なんつーか、怖い。






「ウォッカ!!」



誰かの強い声と

手首をつかまれる感触に、

驚いて演奏をやめた。



「ちょっとどうしたの、

大丈夫?!」


スミレだ。



眉間にシワを寄せたスミレが

心配そうにオレの顔を

のぞきこんだ。




「大丈夫って、何だよ。

どういうこと?」


息の上がった声で、

そっけなく聞き返した。



今あんまし、

人と関わりたくない気分だった。


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