ラプソディ・イン・×××
そんなオレの真意を

知ってか知らずか、


スミレはお構いなしに

オレの目を探るようにジッと見て

言った。



「…ウォッカ、

目、充血してるけど…、

泣いて…」



「泣いてねぇし!!!」


スミレの肩が

驚いてビクっと動いて

固まった。



思った以上にデカい声が出て、

「…ゴメン」

オレ自身もびっくりして

とっさに謝った。



「…ううん、大丈夫」


緊張した顔のまま、

スミレは

乱れてもいない斜めにした前髪を

耳にかけるしぐさをしながら

首をふった。




「スミレは、なんでここに?」


オレは気を取り直して、

落ちついた声で聞いた。



「あ、うん、ここの旧図書室に

行こうと思って、

…あ、処分される本棚の仕切りを

拝借しようと思って…。


近くまで来たら聞こえたから、

ウォッカのサックス。

で、ちょっと心配になって…」


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