ラプソディ・イン・×××
オレの勢いに

しかたなしに

スミレはうなずいた。


「…わかったわ。

…誰でも本調子じゃないときだって

あるわよね。

でも無理はしないでね」




無理なんてしてない。


逆にサックスを

取り上げられるほうが無理だ。




自分ではどうすることもできない

色んなふに落ちないことを、

いつもサックスは、

文字通り吹き飛ばしてくれていた。



だから、きっと今回だって、

色んなもやもやを

吹き飛ばしてくれるに違いない。



サックスがあるかぎり、

オレは大丈夫なんだ。






『あの人、転院するんだって』




母親からの

短いメールのその先は…



親父、転院するんだって、



ホスピスに。





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