悪魔のようなアナタ(番外) ~with.Akari~
終末の鐘の音
※こちらは「悪魔のようなアナタ」パラレル談話編となります。
玲士編・晃人編のそれぞれのネタバレが入っておりますので未読の方はご注意ください。
なお、各登場人物が、それぞれの結末を知っているという前提です。
***
ある日の夕方。
灯里は自席で電機設備課の振替伝票を作成していた。
左右の金額が合っていることを確認し、シャチハタの印を押して山岡課長に提出する。
「課長、捺印お願いします」
「りょうかい~」
山岡課長は机からシャチハタを出し、ポンと伝票に捺印する。
――――毎回思うのだが、ちゃんとチェックしているのだろうか?
灯里は疑念を抱きつつも、ありがとうございます~と言い伝票を受け取った。
そのまま階段を上がり、経理部の伝票提出ボックスに入れる。
と、その時。
「あら、吉倉さん?」
経理部の香川さんが声をかけてきた。
艶やかな黒髪に赤いルージュを引いたその姿は、まさに大人のお姉さんという雰囲気だ。
香川さんには電機設備展の時などいろいろとお世話になっている。
灯里は顔を上げ、明るい声で言った。
「お疲れ様です、香川さん」
「お疲れ様~。この間の振伝修正、ありがとね」