悪魔のようなアナタ(番外) ~with.Akari~



「なにしろ元婚約者を叩きのめすために会社買収まで行うという容赦のなさ。九条一族が路頭に迷おうが何とも思わない非情ぶり」

「……」

「おれなど足元にも及びませんよ。……ねぇ、灯里?」


なぜそこで自分に話を振るか?

灯里は真っ青になったままぶるぶると首を振った。

――――イヤだ、会話に加わりたくない。


蒼白になる灯里の前で、今度は晃人がうっすらと微笑んだ。


「灯里との将来のために必要なことをしたまでだ。……しかし非情さで言えば、君もなかなかのものだな、水澤」

「どういうことでしょうか?」

「まさか軟禁するとはな。さすがにあれは俺も想定外だった」

「監禁よりはマシでしょう。あれでも軽い方ですよ。というかあなたにだけは言われたくありませんね」


二人の間で絶対零度の火花が飛び散る。

ひぃぃと灯里は背を仰け反らせた。


やはり世界は破滅に向かっている。

まだ始まったばかりなのに既に飲み会という雰囲気ではない。


――――自分がここにいてはまずい。絶対まずい。

灯里はとっさに立ち上がった。


「あ、あ、あたしっ、用事を思い出したので帰りますっ」


叫びながらバッグを取り、脱兎の勢いで店の出口へと走っていく。


そんな灯里の後姿を、三人は唖然と見つめていた……。

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