悪魔のようなアナタ(番外) ~with.Akari~



「でも吉倉さんが来てくれて、ホントよかったわ~」

「え?」

「実はね。他の二人には誘いのメールは送ってあったんだけど、全く返事がなくてね。もし来なければ美奈ちゃんと二人で女子飲みしようって言ってたの」

「……は、はあ」

「でもさっき、美奈ちゃんの代わりに吉倉さんが来るってメールしたら速攻で返事があってね。二人とも死んでも参加するって」


灯里は唖然と香川さんを見た。

死んでも参加って、まるで戦場にでも行くかのようだ。

ということは、二人とも自分のことを知っている人なのだろうか?


よくわからないが、美奈ではなく灯里が参加することを知ったうえで来てくれるのはちょっと嬉しい。

と目を輝かせた灯里だったが。

店の入口にとんでもない人物の姿を見つけ、ひぃと声を上げた。


「……っ!?」


癖ひとつないサラサラの黒髪に、朝の湖を思わせる透明感のある黒い瞳。

すらっとした均整のとれた体にブラックのスーツが良く似合っている。


水澤玲士。25歳。身長184cm、血液型AB。


灯里の同期。経営企画室に所属している。性格は破壊的に最悪。しかし捕らえた獲物にはわりとマメなタイプ。


灯里は思わずばっと顔を下げた。

――――悪魔がここに来るなど想定外だ。


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