欲求
 
「焼けたね」


素足に触れる砂の柔らかさを感じながら、笑って隣を見ると彼の日焼けした胸元が僅かに揺れた。


「だな」


笑った事により揺れた胸から視線を上げると、浮き上がる鎖骨に掛かる革紐のネックレスが目に入り。


「焼けてないな」


彼が私を見て笑ってそう言うと、力強くそれでいて繊細な鎖骨を覆う、程好い小麦色の滑らかな肌が声と共に振動した。


浮き上がる鎖骨に月明かりが陰影を作り、セクシーな情景に胸がドキドキと音を立てる。


触れたい……。


単純な欲求が思考を支配する。


昼間のバーベキューの時から感じていた彼への欲求。
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