欲求
どうせバレているならと……。
「ねえ」
「うん?」
もはや彼の意志ではなく、自分の意思で指先を這わす。
盛り上がる骨を辿り、窪む無防備な喉をやり過ごし、邪魔な革紐を通り過ぎ首筋を上へ……。
「キスしていい?」
自分の指先を見つめながら聞くと、ふっと笑った彼の手が私の首筋に触れた。
引き寄せられる胸元に、限界ギリギリの欲求のキスを落とす。
唇に触れるだけでは足りず鎖骨に舌を這わすと、私を抱き締める彼がほっとしたように甘く囁いた。
「これで眠れる」
【欲求】