真夜中のささやき【密フェチ】
プルルルル――…
真夜中に鳴る携帯。
こんな時間にかけてくるのは、彼しかいない。
私はベッドに腰掛けて
通話ボタンを押す。
「もしもし…?」
『もしもし、俺』
薄っぺらな機械を通したその声は、驚くほど耳の奥深くまで響く。
「待ってたわ。今日は…そうね、愛してるって、たくさん言って」
少し間が空く。きっと照れているに違いない。
『愛……して、る』
心地よい鼓膜の振動に、胸がときめく。
「もっと」
『…愛してるよ、君を愛してる』
あぁ…なんて素敵な声なんだろう。
昼間は役立たずなのに、真夜中、電話を通すだけで全く別のものに感じる。