背に吹き抜けるは君の風
始まりの日
運命の始まりは、3月にしては暖かい日だったのを、今でも覚えている。
ーーー
「プリント解き終わったかー」
先生のくつ音がカツカツと教室中に響く。
窓際のあたしの席には、ポカポカと暖かい日差しが降り注ぎ、背中を気持ちよくあたためる。
窓の外からは小鳥のさえずりが聞こえる。
(…昨日はちょっとテレビみすぎたから、眠いや)
やわらかな日射しの下、うとうとしていたあたしの頭に、
バシンッ
突然なにかが炸裂した。
あたしはビックリして、机ごと前のめりにひっくりかえった。
グワッターンッ
ものすごい音とともに顔をあげると、先生がまるめた教科書を片手に、あたしを見下ろしていた。
「綾代(あやしろ)ーてめぇまた寝てただろ。昼ごはんのあとの授業は、ちょっと目を離すとこうなんだから。」
「ゴ、ゴメンナサイ…」
教室が笑いに包まれる。