夢中パラダイス!?
富士凛々香、という名前。
どこかで聞いたことがある。
それは、学園だ。
間違いない。
私があの女と話すとすれば、学園ぐらいしかない。
なぜ、私は富士凛々香のことを『あの女』と呼ぶようになったのだ?
それは、わかりそうでわからなかった。
でも、私の中で一本の糸が切れたことは確実だった。
「姫乃?」
「あ、香織。」
「大丈夫か?具合でも悪いのか?」
「いや。大丈夫だ。・・・なぁ香織。」
「はい?」
「富士凛々香はどんな女だったかな・・・」
「・・・それは姫乃が一番わかってるはずだ。さ、次行こう!」
私の手を握り歩き出す香織。
まるで私に、何かを気付いてほしそうに。
次に向かったのは、小さなカフェ。
こじんまりとしているその小さなカフェに、香織は私を連れてきた。
中に入るとコーヒーのいい香りが漂っていた。
「姫乃、どれにする?」
そのカフェのメニューにはコーヒーしかなかった。
どうやらコーヒーカフェらしい。
「私は、コーヒーは飲めないぞ・・・?」
「まぁ、良いから。」
「苦いのはだめだ。」
「じゃぁこれならいいか。これだったら甘いから。」
そう言って勝手に頼んでしまった香織。
まぁ、ここにきて何も飲まないとなればお店側としてはいい迷惑だろう。
なら、仕方ないか・・・。
数分後、小さなカップに入れられたコーヒーが来た。