夢中パラダイス!?
「飲んでみ?」
言われるがままに一口飲んでみた。
その味は・・・
「っ甘い。おいしい!」
「だろ?」
私がイメージしていたコーヒー独特の苦みはなかった。
確かに、香織の言うとおり甘い。
そして、香も最高だった。
「お口にあいましたか?」
店の奥から顔をのぞかせたのは一人の男性。
でも、若い。
そうだな、私と同じくらいかもしれない。
「とってもおいしいです。」
「それはよかった。僕が入れたんですよ。」
「あなたが。」
「まだアルバイトの身ですけどね。」
「アルバイト。」
「えぇ、僕まだ高校3年ですから。」
やはり、この男性は私と同じ年だった。
話を聞くと、ある事情でアルバイトをしてお金を貯めなければならないのだとか。
何か、大切なものを買いたいらしい。
アルバイトができる期間は限られていて、大変らしい。
しかし、できるだけ多くのお金を貯めて、できるだけいいものを買いたいのだとか。
このカフェ以外にも2つ掛け持っているらしい。
「大変ですね。」
「えぇ。でも、目標があるから何でもできますよ。」
笑顔でそう言うこの男性を見ているとなんだか少し勇気をもらえたような気がする。
何の勇気なのかはわからないが、きっとこの先またこの男性を思い出す時が来るだろうと思った。
「ありがとうございましたっ」
カフェを後にした私たちは家へ戻ることにした。
「お疲れ様。じゃぁまた後で部屋に行くから。」
「わかった。」
そして、私は自分の部屋へ戻った。