夢中パラダイス!?

すると、柏木が少し驚いたように「えっ」と言った。


「どうした?」


「あ、いえ。お嬢様のご様子が少し変わったように思ったので。」

「私が、か?」


「えぇ。前よりも、すごく明るくなられましたね。」


私が前よりも明るくなった?



明るくなったというのは、いつからのことだろうか。

確かにここ最近は、心を閉ざしていたせいもあってか暗かったのかもしれないが。
それより以前の私はどんな感じだっただろうか。


「ご朝食の準備は整っているようです。シロのことは構わず、学園へ向かいましょう。」

「そうだな。シロ、またな。」

『クンッ・・・』


「寝言か。」


そんなシロが可愛いと思いながら、朝食を済ませた。

そして学園へ向かう。




今日は何も躊躇することなく教室へ入ることができた。
そこは、いつもと同じ景色のはずなのだが、なぜだか昨日とは少し違うよに感じた。


「姫乃ちゃん。おはよう・・・」

「おはようっ」
「えっ」


「え?」


「あ、ううん。何でもない。」

私にこうやって挨拶をしてくれるのは、彩花(あやか)というクラスメイト。
最近、よく話しかけてきてくれていたが私は彼女に冷たく接していた。


私の周りには壁があったから。



「なにかあった?」

「全然。ただ、姫乃ちゃんが、なんだか嬉しそうって言うか・・・明るかったから。」


「まぁ、色々あってね。」

「え?色々って何?」
「内緒~。」


「教えてよ~」などといながら楽しく会話をする私と彩花。

人と話すことがこんなにも楽しい事なのだと、感じられた時間だった。


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