夢中パラダイス!?
それからの日々は、時間が経つのが今まで以上に速かった。


学園では、毎日のように薫と話をすることができた。
と言ってもあいさつが一番多いのだが。

それでも、毎日が楽しかった。

時には、凛々香と歩いている薫をみると胸が締め付けられるようだったが、なぜか段々と『大丈夫だ』と思えるようになってきた。


それは、私が薫を信じているから。


どうしてこんなにも薫を信じることができるのかは私自身もよくわからなかったが、でも頑張れたのだ。



そして、家に戻ればシロと大運動会。

実は、あの日から柏木が日々老化していくのが目に見えるようになった。
と、老化と言うと怒られる。


つまりは毎晩のように大運動会を続けて疲労困憊といったところなわけだ。

なぜか、シロは毎晩のようにハウスをうまく抜け出し家中を走り回るのだ。


柏木ばかり楽しそうだと思い、いや、本人はそうは思ってはいないだろうから、私が代わりに走っているといったところだ。


そして、それが日課となり、今では毎晩がこの上なく楽しい。

思い返せば、シロとこうやって遊んだことがなかった。
だから、今が楽しいのだと思う。




そんな幸せな日々が続いていたある日、私はある事実を知ることになった。

それは、学園でのこと―――


いつものように薫に話しかけようとしていた。

そのとき、後ろから声をかけられた。


その相手は―――


「姫乃?」


「えっ、薫。」

「ちょっと、話があるんだけど。いいか?」

「うん。いいよ?」


そして、二人で向かった場所は学園の中の大広間。

そこには、誰もいなかった。


今は授業間の15分休みの時間なだけあって、さすがにあの人気のない外へは出られなかったのだ。

だから。きっとここを選んだのだろう。
普段は誰もいないことを知っている薫ならではの考えだ。


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