夢中パラダイス!?
「こんなこと、姫乃に言う必要ないじゃん。でも言わないといけないような気がしたから。」
いまだに私の体は固まったままで、何も話すことができなかった。
言いたいことはたくさんあった。
もう、私諦めついたから―――
薫にこれ以上迷惑かけないようにするから―――
もう、話さないようにするから―――
そんな言葉たちははかなく消えいった。
私の頭の中は真っ白だった。
何も、言葉が浮かんではこなかった。
「そろそろ授業始まる時間だな。先に教室戻ってるから、あとで来いよ。じゃっ」
先に教室へ戻っていく薫の背中を見ながら、私の頬を一粒の涙が流れた。
ここで立っていても何も変わらない。
そんなことはわかっているのに、足が動かない。
どうしたら、いいの?
その時、聞こえないはずの声が聞こえてきた。
それは、ほんの少し前まで聞こえていた、あなたの声。
―――前に進め。立ち止まっても、そこには何もないんだから―――
不思議なくらい、その声は私の心の中にスッと入りこんできた。
前に、前に進まなければ。
―――未来には、きっと幸せがあると信じて―――
未来、を信じる。
そして私は、一歩、足を踏み出した。
教室に着くと先生がちょうど来たところだった。
そして、授業もちゃんと受けた。
さっきのことは気にはなっていたが、なぜか、授業に集中できた。
でも、授業が終わると、先程と同じ感覚に襲われる。