夢中パラダイス!?
「薫さん、一言よかったら言ってください。」
「はい。」
薫がみんなの前に立つ。
そして、話を始めた。
「このとことを告げられた時、僕自身も驚きました。でも考えた末にアメリカへ行くことにしました。」
薫も悩んだのだろう。
きっと、たくさん悩んでこの結果にしたのだ。
「僕は、実はある人の執事をしていました。」
急に教室の中がざわめき始めた。
それもそのはず。
今の薫の発言は、だれも知らない事実だったのだから。
私を除いた皆が知らなかったこと。
でも、まさかここでそんな話をするとは思ってもいなかったため、私自身も驚いた。
「でも、今は違うお嬢様の執事をしています。」
凛々香のこと。
きっと、お嬢様と言えば、凛々香のことしかみんなの頭の中にはないだろう。
でも、だとすれば今の話からすると2人のお嬢様がいたことになる。
だから皆疑問に思っているのだろう。
『もう一人のお嬢様は誰だ』と。
先生は何も言わなかった。
なぜなら、先生は知っているからだ。
薫のことを。
私のことを。
鬼城家のことを。
薫の話はどんどん進められていく。
「皆さんもご存知だと思いますが今している執事の仕事は、富士家のお嬢様の執事のことです。」
「だったら、もう一人のお嬢様は誰なわけ?」
教室にいる誰もが思っていること。
代表として、私が薫に尋ねた。